2011日本障害者自転車競技大会・日本パラサイクリング選手権

 本大会は競輪公益資金の補助を受けて開催されます。


協賛: ビットリアジャパン 株式会社岩井商会 ダイナソア株式会社
後援: 京都府自転車競技事務所 向日市
協力: 財団法人JKA 社団法人日本競輪選手会京都支部 京都府自転車競技連盟

トラック:

 今年の日本パラサイクリング選手権・日本障害者自転車競技大会トラックは、来る7月23日(土)24日(日)に京都府向日市の向日町競輪場にて開催された。

 ロード同様、トラックも震災の影響を受けた。5月6月での開催が出来ず、時期・場所共に決定まで困難が有った。そんな中も、向日町競輪場関係者の皆様や京都府自転車競技連盟・日本競輪選手会京都支部の皆さんが真摯に御配慮御協力くださって、開催できることになった。 皆様に心から感謝申し上げます。

 7月になったことで、輪番操業などにより、週末出勤になり参加を断念する選手もいたが、例年通りの参加となった。 特に新しい選手の参加が目立ち、男子Cクラスは全クラスからエントリーがあり、フレッシュ感もあって、内容の濃さとミックスしてとても良い大会となった。

7月23日(土)初日:

 前日までの比較的しのぎやすい気候から真夏の暑さが戻った7月23日。全国から選手が、続々と会場入り。大会役員は予定よりかなり早い時間から会場入りしていたが、それと変わらないくらい早い時間から登場する選手も多く、この大会に賭ける意気込みが見えた。 実際、好天もあってか、好記録がいくつも飛び出した。 当日の向日町競輪場は場外発売を行っており、多数のファンが来場されていたが、そのファンから選手の走りに暖かい声援が多数寄せられ、選手・役員は感激した。 また、京都車連や競輪選手会京都支部の方々からも激励を頂き、選手には励みになったはず。好記録の要因と思われる。

 開会式では、北京パラリンピックで大活躍した日本のエース、石井雅史(C4,チームスキップ・藤沢みらい創造)が力強く選手宣誓。 あの震災当日はトラック世界選でイタリアにいた。 「東日本大震災で闘っている人たちのために」と全力での走りを誓った。


「大震災で戦っている人たちのために」走ることを力強く宣誓した石井
もう1度大舞台でメダルを獲って、日本に活力を!

 この日は1キロタイムトライアルと200メートルフライングタイムトライアル(ハロン)が行われた。気温は30度をゆうに超えているが、かなり良い状態で競技に臨めた。

 まずは1キロタイムトライアル、Bクラス(視覚障害)から。 男子Bクラスでは、大城竜之(チームチェブロ・文京盲学校)・伊藤保文(日本競輪選手会京都支部)ペアが、一時の不調から脱するような好タイムをマーク。スタートでギアが飛んだのか、「バリッ!」という激しい異音がし、後ろ乗りの大城が一瞬体を浮かせる。しかしパイロット伊藤は問題ないと悟ったのかすぐに踏み直して行き、大城がうまくそれに合わせる。なかなか一体になれなかった2人が困難を乗り越えて一体になった瞬間だったのかもしれない。スタートのアクシデントにかかわらず、その後はスピードが一気に上がり、また課題だった後半のタレも目立たない走り。1分6秒230だった。前輪はスポークの練習タイヤ、さらにスタートのアクシデントが有ってのこのタイムは今後への高い可能性を期待させてくれる。


スタートのアクシデントにもかかわらず気合の入った走り
大城竜之・伊藤保文ペア 見事な集中力

 好タイムの予感は当日の練習時から有った。パイロット伊藤が公式練習後「(大城が)気合が入っている。集中していて乗れている、(自転車が前に)進んでいる」と大城の調子の良さを思わず漏らした。一流プロが認めたほど、レース前の気迫・集中力は誰よりも優れていた。伊藤もそれにプロらしく応えた。それが好タイムにつながったのでは。

大城・伊藤ペアが走りだすころには、向日町競輪場に来場された競輪ファンのお客様が熱い視線と声援を投げかけてくれるようになった。本当にありがたいことで、選手を後押ししてくれた。

 久しぶりにタンデムに女子が参加してくれた。これは今大会のグッドニュースの一つだ。大阪で地道にタンデム活動を推進しているという柏木佳子(チームAVEL)がパイロット上北綾乃と組んで、出場。トラックは全くの初めての様子で、ちゃんと走りきることが目標と話していたが、ブレも無い安定した走りで女子のタンデムの扉を再び開けてくれたようだった。 


実に久しぶりの女子タンデム 柏木・上北ペア
新たな扉を開け

 男子C5クラス(主に方上肢の障害)は日本代表の阿部学宏(スペードエース・銚子屋本店)が1分17秒084の国内自己ベストをマーク。地道な練習の成果が少しづつ出ているのがこの阿部。この日の結果もそれが表れている。地道な練習の価値をこの阿部からぜひ学んでほしい。 この種目には大ベテラン佐久間明夫も出走。翌日は応援・裏方の手伝い等を行ってくれた。この姿も本当に素晴らしく、ありがたいことだ。


地道な努力の手本 阿部

2日目は応援・スタッフのヘルプ等を行ってくれた佐久間
(感謝!)

 男子C4クラス(主に方下肢等の障害)では、やはり日本代表の石井雅史(チームスキップ・藤沢みらい創造)が1分13秒280で1位。自己ベストには遠く、不満そう。それでもこの大会できっかけはつかんだ様子。今大会の参加者の走りに刺激を受けたようで今後に再び期待がかかる。 このクラス2位の多以良泉己(神奈川)3位の溝口智徳(チームりんきち・中部国際空港)いずれも昨年5月の大会のタイムを上回ってくれた。溝口は自己ベストだった模様。


前半良かった石井雅史 あとは最後の粘り

多以良泉己のスタート タイム短縮

溝口智徳もタイムを短縮

 男子C3クラス(主に両下肢の障害など)の藤田征樹(チームチェブロ・日立建機)は、片道約40時間のカナダ・ロードワールドカップ遠征から帰国して10日。茨城から京都までの移動と相まって、疲労感が有ったかもしれないが、スタートは見事に決め、素晴らしい好タイムの期待が。残り200でスピードダウンしたがそれでも1分17秒505とまずまずのタイム。練習・レースの成果か、調子がいいのか、それは翌日の個人追い抜きにおいても見られた。若い人のポテンシャルは本当に素晴らしい。パラサイクリングでは藤田のような若い選手の出現を願っている。


片道40時間の遠征帰りとは思えない藤田征樹(C3)の走りだった
若さはやはりすごい

トラックでも大きな可能性を見せた田中哲也(C2)

 非常に注目されたのが男子C2クラス(主に片足でペダルをこぐ選手のクラス)の田中哲也(北海道)。ロードでは素晴らしい走りを見せ、その中ではトラックでの可能性を見せていた。 トラックレースは今回が初めてで、スタート等まだ慣れないことが多い中も、安定した走りで1分37秒144。今後の高い可能性を改めて見せてくれた。オリンピックスタッフからも称賛された安定した走りで、これからさらに伸びるのでは。

 男子C1クラス(Cクラスで最も障害程度が重いクラス)西田清司(TBC-Nagoya・豊通ヒューマンリソース)は大のトラックファンの様子。かなり詳しい。以前は名古屋競輪場の愛好会で走っていたことがあるという。障害が進み、一度はトラックを断念したが今回再挑戦。以前は1キロTTをきっちり走ったことは無かった様子だが、今回挑戦し1分46秒560でこちらも安定した走りだった。これからまたトラックを楽しんでほしい。


西田清司 1キロを走りきった

 200フライングタイムトライアル(ハロン)(男子タンデムのみ)は大城竜之・伊藤保文ペアが再び良い走りをしてくれた。大外から突っ込む上手いコース取りでハロンは何と10秒770。歓声が沸いた。少し前で有れば世界新記録に等しいタイムだ。


抜群のコース取り・タイミングだった

 この日の種目では、暑さを感じさせない良い走りが目に付いた。地道な努力が良い結果につながることを証明してくれたようだった。 1キロタイムトライアルにおいては、途中600mあるいは800mまでは非常に良い走りであっても最後の400m・200mで大きくタレることが目立った。 普段中・長距離練習をどれだけ中味を濃くして苦しくやっているかで最後のタレが目立つか目立たないかが決まってくるのでは。苦しいトレーニングだが最後のタレを抑制するためには必要と思える。 選手の皆さん、このあたりもヒントにして頑張ってほしい。


7月24日(日)2日目:

 この日は個人追い抜きが行われた。(この日出場したクラスでは、男子C5及び男子C4は4キロ、その他は3キロ。)

 特筆は、男子C3の藤田征樹(チームチェブロ・日立建機)。国内自己最高の3分57秒50という素晴らしいタイム。今年3月のトラック世界選(イタリア)での藤田のタイムが3分52秒台(6位)だったことを考えると、この種目で十分「狙える」と言えるのでは。今後この種目での藤田に大きな期待がかかるだろう。


非常に良いタイムをマークした藤田の個人追い抜き

 藤田に続く若い選手の台頭が本当に待たれるところだ。

 男子C5阿部学宏(スペードエース・銚子屋本店)とC4の石井雅史(チームスキップ・藤沢みらい創造)が対戦する組み合わせが組まれて激突。 3月世界選でのタイムではわずか3秒差だったこの両選手。 今回は石井が貫録を見せてその差は約12秒に広げた。 石井は目標としたラップに遅れ、タイムも5分17秒92だったが、大ギアを踏みこなす手ごたえはつかんだ様子。 この大会が復活に向けたきっかけになったのであれば幸いだ。

 阿部はこの数日前練習中に落車し負傷。 大きな怪我ではなかったがこの種目では影響が有ったはず。そんな中も国内自己ベストは立派。1キロ同様、地道にタイムを縮めている。 C4の溝口智徳(チームりんきち・中部国際空港)は遅れたが、こちらも昨年のタイムを更新。


手ごたえつかんだ 石井雅史(C4)

阿部学宏(C5) 国内ベストをマーク

溝口智徳(C4)もタイムを短縮

 男子C2の田中哲也(北海道)はロングライドで鍛えた脚でこの種目でも注目された。さすがに初めての3キロ個人追い抜き、ペースもわからず苦戦したかもしれないが今後トラックにも取り組んでいけば大きく伸びるのでは。

 女子Bクラスの柏木佳子(チームAVEL)・上北綾乃は3キロ個人追い抜きにもしっかり参加。これからぜひ頑張ってほしい。


田中哲也(C2)

柏木佳子・上北綾乃ペア

 2日間共に暑い中であったが、事故も無くしっかり走り、またいくつもの素晴らしい走りが披露され、向日町競輪場に来場された競輪ファンの方々や地元競輪選手・京都のアマチュア選手らから声援が何度となく飛んでいた。本当にうれしく、心温まる良い大会になったはずだ。

 向日町競輪場・京都府自転車競技事務所・向日市・JKA・京都府自転車競技連盟・社団法人日本競輪選手会京都支部・協賛/支援企業の皆様に改めまして心から感謝申し上げます。 震災により、一度はあきらめかけた今年の大会が好評のうちに無事終了しましたのは皆様のおかげです。 ありがとうございました。 

 そして2日間御声援頂きました、向日町競輪のファンの皆様、ありがとうございました。

 皆様これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

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