2011日本障害者自転車競技大会・日本パラサイクリング選手権

 本大会は競輪公益資金の補助を受けて開催されます。


協賛: ビットリアジャパン 株式会社岩井商会 ダイナソア株式会社

ロードタイムトライアル:

 今年の日本パラサイクリング選手権・日本障害者自転車競技大会ロード(タイムトライアル)は、6月4日(土)に愛知県豊橋市の万場調整池特設コース(1周2.75キロ)で開催された。

 この大会は当初は恒例となりつつあった4月開催に向けて準備を進めていたが、震災の影響などがあり、準備が中断。しかし、水資源機構・愛知県自転車競技連盟・豊橋自転車競技協会など多くの皆様のご尽力によりこの日に開催が出来ることになった。 皆様に心から御礼申し上げます。

 数日前までの雨・低温がうそのように、当日は好天に恵まれ、暑くて真っ赤に日焼けするほど。ただ、昼からはこの地特有の風が徐々に強まり、第4グループ(C1,C5)第5グループ(B)のころには大会役員席の物品が飛ばされそうになるほどに。 しかし、好記録が続出、また、大会初出場選手も立派な走りを見せてくれた。

 午前10時5分からの開会式では、奥村直彦(H3,風輪道・茨城)が選手宣誓。 自らも被災し、苦しい日々を乗り越えて5月のロードワールドカップで好走。 宣誓では、被災地に向けて力強いメッセージを送り、とても感動的な選手宣誓だった。


自らも被災した奥村が心からの熱いメッセージを込めて選手宣誓
感動的だった


 競技のトップは、T1女子の徳田百合子(チームフォローアップ・愛知)。昨年までより距離が長くなった(11キロ)が、4年前とほとんど同じペースで、目標としていた30分未満を達成、29分42秒72は立派。平均時速はおよそ22.22キロだった。 「30分を切って見せる」の有言実行だった。

 今大会の最遠方賞となった田中哲也(C2,北海道)は、ロングライドの経験豊富。1周目は4分38秒台の快ペースで飛ばし、他の選手・役員・観客を沸かせた。その後ペースは落ちたが最後の2周は盛り返し、6周16.5キロを30分44秒37。アベレージ32.2キロ。 この日の暑さに驚いていた様子だがそれを感じさせない快走だった。


「30分を絶対に切ります!」の宣言を見事に実行 徳田(T1) ガールズ賞もゲット

北海道から初出場、田中(C2)は力強い走りで他の選手・関係者・観衆を魅了


 田中の後、日本代表選手が続けてスタート。 C3の藤田征樹(チームチェブロ・日立建機 茨城)も奥村同様震災の影響があったが、ワールドカップで3位に入るなど、懸命な練習で力はキープどころか上昇している。今大会から距離が昨年までより長くなったが、昨年のタイム(昨年は6周16.5キロ)を6周通過時点で上回り(昨年は25分24秒、今年は24分47秒ほど)、8周22キロを33分02秒66はアベレージ時速39.95キロ。昨年は16.5キロでアベレージ38.9キロだった。 まだまだ伸びてくれるだろうし、期待したい。 やはり若い選手は違う。

 次のスタートとなった奥村直彦は、各ラップほとんど一定のペースで安定した走り。 選手宣誓で心を打たれた観客・関係者から暖かい声援が飛ぶ中、こちらも距離が長くなった不安を全く感じさせない走りで35分30秒30、時速は37.1キロほど。本当にここのコースは得意としている様子だ。 奥村も昨年は16.5キロ、タイムは27分09秒98だったが今年の16.5キロ通過時は26分30秒ほど。昨年のアベレージは36.44キロ。 被災し、放射能に不安を抱き、生活をするのもやっとだった藤田と奥村の凄まじい日々の努力がこの苦しいRTTにおける驚くべきレベルアップにつながっている。 敬意を表したい。 開催地関係者からも、この2名には称賛の声が挙がっていた。


アベレージ39.95キロ 藤田(C3) 若手No1から世界の頂点を

こちらも見る人を魅了 奥村(H3) こちらも世界で期待

 昼ごろから、風がだんだんと強くなっていく。 午後12時40分からのC4男子では、その風が選手を苦しめることが予想された。

 しかし、さすがに第1人者の石井雅史(チームスキップ・藤沢みらい創造)はそれをはねのけてくれた。 最初3Lapは3分台で飛ばす。これは4年前のラップを上回るものだった。その後風の影響もあったのかややペースダウンしたが大きくたれることはなく、昨年を20秒ほど短縮した32分05秒32でゴール。アベレージ41.14キロ。ちなみに4年前のアベレージは41.94キロ、昨年は40.69キロだった。 昨年よりもかなり風が強かったことを考えると怪我からの回復も順調なようで、またモチベーション的にも高まっているからこそのタイムアップだろう。一時の不振からは脱却していると確信できる。

 また、C4で石井に負けじと素晴らしい走りをしたのが土門伸行(東京)。昨年は39分06秒だったがことしは何と4分以上も短縮し、35分03秒85、アベレージ37.66キロ。 強い風を考えると驚異的なレベルアップ。 土門はトライアスロン出身で、そのためか特に後半の安定したペースがけは見事。 土門は、昨年の大会参加時には「自分の機材はUCI規格に合っていない部分がある。規格に合った自転車がまだ間に合わない。だが、走らせてほしい、記録だけでも取ってほしい」と自ら申し出たフェアな精神を見せてくれたエピソードがある。 フェアに腐らず地道に取り組んできたことが大きなレベルアップにつながったのでは。 


プロサイクリストの意地 石井(C4) 再び上昇気運へ

今大会一番の大健闘 土門(C4)は昨年から何と4分!もタイムを縮めた
1キロあたりにすると、10秒ほどの短縮 素晴らしい


 風はさらに強まり、第4グループのC1およびC5のころには、本部役員席のテントも壊れてしまうのでは、というほどに。 役員の作業も非常にやりづらくなるほど強まった。 

 クラス分けの結果、クラスがC1になった地元愛知の西田清司(TBC NAGOYA・豊通ヒューマンリソース)は前日脚の痛みが強くなり、欠場も検討したが、元気にスタート。 両足に重い障害がある西田にこの風はかなりきつかったのでは。それでも、4周目5周目は盛り返し、35分13秒53。 時速27.82キロは大健闘。

 C5はこの2年間国際大会で鍛えられた阿部学宏(スペードエース・銚子屋本店、静岡)が33分05秒48とこちらも昨年から1分35秒ほどの大幅短縮で、大ベテラン佐久間明夫を抑えた。 この時間帯が最も風が強く、腕に障害のあるこのクラスには風に吹かれて安定性に苦慮したはずだが阿部はアベレージ39.9キロで乗り切った。


地元愛知の西田(C1)は強風に苦しみながらも後半盛り返した
(横断幕が強風で風船のように膨らんだ)

強風にあおられバランスに気を使いながらも、阿部(C5)は1分35秒縮めた

 Bクラスは、今回初出場ペアが怪我のため棄権。大城竜之(チームチェブロ・文京盲学校)・高橋仁(チームチェブロ)ペアも途中パンクのアクシデント。そのため大きくタイムロスしたが、それが無ければ4年前の29分22秒に迫る勢いだっただけに残念。

 大会は事故も無く予定通りに終了。 表彰式では上位選手への表彰のほかに、大会実行委員から、徳田にガールズ賞が、田中に最遠方賞が、そして長年この大会に休むことなく参加し続けた元日本代表キャプテン佐久間に功労賞が送られた。 

 水資源機構・愛知県自転車競技連盟・豊橋自転車競技協会の皆様、JKA、協賛企業、主催関係団体の皆様に改めまして心から御礼申し上げます。

2011ロードリザルト(PDF)

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