2007UCIパラサイクリング世界選手権 トラック競技

CP4石井雅史が1キロ世界新で金、個抜きは銀! LC3藤田も銀を獲得

御礼
2007UCIパラサイクリング世界選手権日本チームは
多くの皆様方から温かい御支援・御声援・叱咤激励を頂きました;

日本プロフェッショナルサイクリスト協会様、(財)日本自転車競技連盟様、
(株)サテライトジャパン様、
(株)オージーケーカブト様、(株)ダイナソア様
(株)パールイズミ様、(有)メダリストプランニング様、Vittoria Japan様
(財)車両競技公益資金記念財団様
そして多くの真摯な皆様方、
心から感謝申し上げます。
日本チームは前回06年を上回る好成績を残すことが出来ました。
皆様のおかげです。 厚く御礼申し上げます。 
北京へ向けた戦いはまだまだ続きます。 これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

 日本チームは猛暑がピークを迎えた8月16日朝8時成田に集合。不安と希望を抱きながら2007UCIパラサイクリング世界選開催地のフランス・ボルドーへ。乗継地のパリで2便に分かれてボルドー入りしたが一部の荷物が届かなかったり、ホテルの部屋が使いにくいものだったりのトラブルはあったが、大会ボランティアの人たちが温かく迎えてくれたのがありがたかった。

 翌17日、トラックで到着した機材の梱包を解き、ロード練習・トラック公式練習へ。18日にも再度トラック練習。19日の大会初日に備えた。19日午前に日本選手のクラス分けが行われた。昨年はこのクラス分けで泣いたこともあったが今年はほぼスムーズに。


今年2月にIPCからUCIへ移管して最初の世界選
IPC世界選ではなく、UCI世界選だ

8月19日トラック初日
LC3藤田が個抜き7位入賞,古畑は日本新,キャプテンが火を灯けた

 初日のこの日は午後からLC(運動機能障害)男子各クラスの個人追い抜き予選が行われた。(LC1とLC2は4キロ、他は3キロ。)日本のトップはキャプテン佐久間明夫(LC1)。「意気込みを見せなければ」との思いで、スタートから飛ばす。1キロ通過のタイムは1分18秒537の好タイムに日本のピットは沸いた。しかし、最後の1キロで力尽き、5分41秒111で21位だった。しかしこのキャプテンの気持ちは他の選手にも伝わった。その後の勢いにつながった。

 LC2の古畑俊男は「片足の鉄人」としてトライアスロンでは国の内外で有名。その古畑が自転車に集中し世界選代表に。しかし、仕事との両立に苦しみ、加えて参加できた合宿は雨にたたられることが多く納得のいく練習が出来なかった模様。スタートに苦しんだがその後は安定したラップを積み重ね、10位以内が期待されたが惜しくも5分18秒972で12位。もう少し練習が出来ていたらこの記録は飛躍的に伸びていただろう。今後伸ばしてくれるはずだ。この記録はクラス日本新だった。


先陣を切った佐久間

10位には届かなかった古畑

 LC3の藤田征樹はまだ22歳。世界選出場決定が一番遅れたため当初調整が心配されたが直前の最終合宿では好タイムを連発していた。スタートから飛ばした走りは1キロ通過が1分18秒台で一番時計。その後はさすがに失速したがそれでも4分7秒623(日本新)で7位に入り、ポイント24点をゲット。ピットは沸いた。藤田を拍手で迎えたが力尽きた藤田はレース後激しく嘔吐。本当に全力を出し切った。


スタートを迎える藤田

班目監督や相原(高橋)トレーナーがが藤田を迎える 
このあと激しく嘔吐 文字通り必死の走りだった

 夕方には開会式がトラック会場のボルドー自転車競技場で行われた。ホームスタンドには満員のお客さんが詰め掛け、各国の入場行進に大きな声援を送っていた。エンターテインメント性が満載、さらに地元地域の踊りが披露されるなど、大変な盛り上がりだった。


奥村が選手代表で出席

大変な賑わいだった開会式

 初日の日本は慣れない板張り屋内バンクを全く苦にせず、まずまずのスタートを切った。開会式の盛り上がりで気持ちも高まった。

8月20日トラック2日目
見事!
石井が念願の世界新で金メダルを獲得!

 トラック2日目、CP4の石井雅史が1キロタイムトライアルで1分9秒274の世界新記録をマーク、見事に金メダルを獲得した。

 石井はこの種目昨年銀メダルのため今年はラスト2番目のスタート。スタートからガシガシ踏み込みさらに高速回転で加速、班目監督から徹底した指導を受けた成果をいかんなく発揮。
最後のたれも無かった。 ゴールするとまもなく「Congratulation, New world record!」のアナウンス。これには場内スタンディングオベーションで大歓声が沸きあがり、ベロドローム(競技場)全体が石井を祝福。この種目が始まる前に日本を応援する地元の子供たちが大勢詰め掛けたがその子供たちも大喜び。日本人として誇らしく思った瞬間だった。

 石井の記録は従来の記録1分9秒740(豪のChristopher Scott)を0.4秒以上上回るもの。またこの日2位のJiri Bouska(チェコ)のタイム1分10秒836を大きく上回るものだった。元競輪選手としての意地とプライド・昨年の雪辱、そしてオリンピックのメダリストをも育てた班目監督の熱い指導が実を結んだ素晴らしい記録だった。

 今回はタイヤも思い切ってビットリアピスタエボのCL19ミリで勝負。レース前は多少の不安もあったようだがまったく危なげない走り。 ブリジストンアンカーよりフレームの提供を受け、ヘルメットはオージーケーより貸与のエアロメット、タイヤもJCFを通じてビットリアの希望のタイヤを提供されるなど、その人柄と真摯な姿勢を日本が一体となってサポート。それに見事に応えた世界新での金メダル。 さすがに競輪というプロの勝負の世界それも高いレベルで生きていた男はすごい。 この日の素晴らしい走りは各国選手団・UCI・観客からも大きな賞賛が送られ、大会期間中を通して石井は注目を浴びていた。 

 男子視覚障害タンデムも1キロが行われ、大城竜之・高橋仁ペアが1分6秒172で昨年に続いて6位に入賞。こちらもきっちり走ってくれた。以前であればメダルに届いたかもしれないタイムだが、ここ数年のこのクラスこの種目の記録更新はすさまじく、この日優勝したイギリスペアのタイムは1分3秒347でもちろん世界新。イギリスの直前に走ったオーストラリア(Demery/Hopkins)も1分3秒464でこちらも(わずか数分であったが)世界新だった。記録の連発に場内はやはり沸いた。


世界新・金メダルへのスタートダッシュ
 日本を応援する地元の子供たち

念願の金メダル! しかも世界新!

8月21日トラック3日目
石井と藤田が銀メダルを獲得 大城は個抜日本新で9位

 トラック3日目、日本勢はメダルラッシュに沸いた。先頭を切ったのはCP4石井。前日の1キロ金メダルの余韻だけでなく疲れも残る午前に3キロ個抜きの予選がスタート。昨年この種目銅メダルの石井はペース配分も良く、3分41秒251の好タイムで2位に入り、メダル確定。夕方の金メダルマッチへ。相手はChris Scott(豪)。予選では3分36秒をマークしている。昨年1位2位のBouska(チェコ)Deacon(豪)は3位(Deacon)4位(Bouska)で、石井とはDeaconが1秒差という大激戦の予選だった。 

 決勝までの長い間、気持ちを乱されることもあったかもしれないがそれでもしっかりと集中して金メダルマッチへ。 前半から飛ばしたScottが最後追い上げた石井を振り切り、Scottが金、石井は銀メダルに。1キロだけでなく個抜きの練習も合宿できっちり行ってきた成果が昨年を上回る結果として
出ていた。 立派だった。 

 午後3時半より行われたLC3の1キロタイムトライアルでは藤田征樹が16人中6人目に出走。個抜き1キロ通過タイムがトップだったことに自信を持ったのか、スタートをうまく決めて加速。初周のタイムは22秒590でダントツ。その後は粘りの走り。最終周回はかなりきつそうであったが何とか粘ってゴールするとタイムは1分18秒811。場内アナウンサーがチーフコミッセールのルイーゼに確認。やや間があってから世界新記録のコールがあり、場内は割れんばかりの大歓声に。小さく応える藤田。祝福の声に包まれる日本チームのピット。

 しかし12番目出走の中国のLianが後半グングン加速し、藤田のタイムに迫る。ゴールしたタイムは1分18秒266で藤田を抜いて新たな世界新記録。藤田は銀メダルに。

 まだトラック競技歴は浅い藤田。今後はさらに記録を伸ばしてくれるだろう。その期待は世界から受けているのか、レース後そして大会中を通して藤田にも賞賛の声が数多く寄せられた。藤田に会いにわざわざ日本のピットに来る人が多かった。

 このメダル獲得にもエピソードがある。当初、この種目へのエントリーは考えていなかった藤田。 しかし、合宿中その素晴らしいダッシュ力に目をつけた班目監督が 「1キロも出てみるべきでは?」と声をかけ、本人も「やります」 長年の経験で鍛えた監督の見る目は正しかった。 監督の好判断とそれに応えた藤田のパワーが獲得したメダルだった。

 LC1佐久間は1キロで意地を見せた。1分16秒557でアテネパラリンピックで自身がマークした日本記録を更新。上位には届かなかったがこの日も午後の日本選手トップで出走。その後に勢いを与えた。 LC2古畑は最初フライングのため再発走。ややスタートで遅れて走ったタイムは1分18秒525。
13位だったが、日本新のタイム。 ロードに向けて気持ちは高まったはず。

 タンデム男子の大城・高橋は個人追い抜き予選1組目のスタート。いつものように中間から加速。まずまずのタイムで周回を重ねる。対戦相手を追い抜くタイミングも絶妙。最後の2周でスピードが落ちたのが痛く、4分38秒283(日本新)で9位に。それでも昨年の12位を大きく上回り、ポイントにも貢献。


世界を驚かせた藤田

      石井と藤田 銀メダル獲得にニッコリ

8月22日トラック4日目
大城・高橋、タンデムスプリントで怪物相手に大健闘4位 
ハロンは日本新

 トラック最終日を迎え、この日の日本はタンデムスプリントのみ。昨年ベスト8に残れなかった悔しさを味わった大城・高橋ペアが上位進出を狙って登場。しかし強化合宿ではあまりこの種目に焦点を絞っている訳ではなかった。

 予選ハロン出場の19組中15組目に登場した大城・高橋はラスト1周手前から良い勢いで突っ込んでいく。しかし200メートルの計測開始ラインではややコース取りを間違えた様子で、不安が募った。それでも4コーナーからの直線で良く伸びてゴールしたタイムは10秒891の日本新記録。この時点で2位のタイムとなり、残り4組を残して準々決勝進出を決めた。この後、最後の2組(豪のDemery/Hopkinsペアと英のKappes/Storeyペア)はさすがに強く、それぞれ10秒641と10秒447をマーク。日本は予選4位という好位置で準々決勝、いよいよマッチスプリントだ。


  準々決勝の相手はドイツペア。国際大会の経験は豊富。大城はマッチスプリントの経験は過去にもあるが、パイロット高橋はタンデムでのマッチは初めて。不安が残った。が、そのパイロット高橋の技術力が爆発。1本目2本目共にドイツを幻惑させるうまいスプリントで見事に先手を取ってそのまま逃げ切り。上がりタイムも11秒1台を出すなど文句無いレースでストレートで準決勝へ。この走りに場内からは再び割れんばかりの大歓声・喝采が日本選手に送られた。

  準決勝はイギリスのKappes/Storeyペア。1キロ世界新で金、ハロンの世界記録も持っている絶対王者。準々決勝ではオランダを子ども扱いで圧勝。大苦戦が予想された。 大城・高橋は技術力と粘りで対抗し王者を苦しめたが残念ながら2-0で敗退。それでも英ペアに上がりタイム10秒8を出させるなど、チャンプを本気にさせる走りに持っていき、見せ場は作ってアピールをした。

  3位決定戦にまわった大城ペアは豪のもう1組Modra/Lawrwenceペアと銅メダルを賭けて勝負。1本目、最終バックからまくった大城・高橋が最終4角から抜け出すかに思ったその時、豪ペアがスプリンターレーンを大きく外して大城・高橋を押し上げ。このため大城ペアは失速し豪が先着も、すぐにパイロット高橋が手を挙げて異議の姿勢を示す。日本チームスタッフがコミッセールに抗議に向かおうとするとコミッセールがこちらに手を向けて「わかっている、待て」と。 長い審議の末、オーストラリアペアは降格、日本が先着となった。

  2本目は個抜きに強い豪ペアがスタートからスプリントとは思えない猛スピードで日本に差をつける。あわててこれを追う日本。スクラッチのようなハイスピードの展開が続き、大城・高橋のスタミナを奪っていく。バックからのまくりは決まらず、これで1-1に。銅メダルは最後の3本目に。

  2本目ほどではなかったが、豪ペアのハイスピード周回は続き、日本を揺さぶる。大城・高橋も何とか先手を取ろうとするが取らせてくれず。ラスト2周半からさらにスピードを上げた豪ペアを今度は早めのラスト1周半からまくりにかかるが残念ながら豪ペアに牽制されてまくりきれず。最後の直線追い込みもわずかに及ばず、銅メダルは豪に。結局、予選ハロンと同じ順位で大城・高橋は4位に。

  惜しくもメダルにはわずかに及ばなかったが、大城・高橋のテクニカルで粘りある走りは各国選手・スタッフ、詰め掛けた観衆から高い評価と賛辞を受けていた。レース後、多くの関係者が大城・高橋を称え握手を求めていたのが印象的だった。彼らの成績は昨年を大きく上回り、広くポイントを稼いで日本に大きく貢献してくれた。

  また、午後のマッチスプリントには、他の日本選手が大城・高橋を応援に来場。スタンドから大声援を送り、苦労しっぱなしの大城・高橋のメダル獲得に向けて大声援を送った。 自分のことだけでなく他の選手のサポートも出来るだけ行っていくという姿勢が今年の日本チームの大きな特徴で、以前では考えられなかったことだ。 多数の参加枠獲得という目的を選手は皆理解していた。 みんなで北京に行こう・行きたい、という熱意を感じた。 頭が下がります。敬意を表します。


準々決勝のスタート
奥では他の日本選手が大声援を送った
皆が大城・高橋のメダルを願った

準決勝は地上最強英ペアを
本気にさせたが及ばず



本大会参加にあたっては 財団法人車両競技公益資金記念財団様より助成を頂戴いたしました。
競輪・オートレースの収益により参加することが出来ました。
心から感謝申し上げます。

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