2004アテネパラリンピック トラック競技


9月18日(土) トラック初日: 佐久間がLC1個抜き日本新をマーク!

 長く尋常ではないつらい道のりを乗り越えてついに迎えたアテネパラリンピック。 まずはトラック競技から。
日本のトップを切ったのはLC1佐久間明夫。 午後12時5分からのLC1個人追い抜き(4キロ)予選2組目に登場し、ドイツのMarquardt選手と対戦。 
最初1キロのラップでは1分19秒台をマーク、ベスト8入りしての予選突破に期待がかかったが後半力尽き、5分36秒285で13組中12位、予選突破はならなかった。 しかしこの記録はLC1個抜きの日本新記録。 大舞台での好記録は見事であった。 このクラスはどの選手もすさまじい走り、特に上位は予選1位Peter Brooks(豪)は4分52秒810(時速49.178キロ!)、2位のWolfgang Eibeck(オーストリア)が4分53秒898など健常者トップクラスを上回るような記録。 レベルの高さを世界に見せ付けた。
 男子タンデムも個抜き予選が行われ、大城・丹沢ペア、葭原・大木ペアが出場。大城が4分57秒416で15位、葭原が5分6秒203で16位とともに予選落ちだったがメインのスプリント・1キロに向けての足慣らしは出来たのでは。
予選トップは豪のMODRA/CROWEの強力ペア。 「個抜きに力を入れたい」と言っていた通り、MODRAは4分21秒451の世界新をマーク。 

男子LC1 4キロ個抜き予選結果
予選順位 選手名 タイム
1 BROOKS, Peter オーストラリア 4:52.810
2 EIBECK, Wolfgang オーストリア 4:53.898
3 TRIBOLI, Fabio イタリア 5:00.472
4 VIGNATI, Pierangelo イタリア 5:04.177
5 RENGGLI, Ivan スイス 5:11.359
6 SCHAMBECK, Guenter ドイツ 5:12.470
7 BRECHTEL, Guenter ドイツ 5:13.531
8 MERCIER, David フランス 5:14.072
12 SAKUMA, Akio 日本 5:36.285

男子視覚障害タンデム 4キロ個抜き予選結果

順位 選手名 タイム
1 MODRA Kieran/CROWE Robert オーストラリア 4:21.451
2 MULDER Jan/SCHOOTS Pascal オランダ 4:32.051
3 SHARPE Ian/HUNTER Paul イギリス 4:33.676
4 VENGE Christian/LLAURADO David スペイン 4:33.732
5 CLEMENTE Miguel Angel/SOLER Ignacio スペイン 4:36.381
6 COTE Stephane/BOILY Pierreolivier カナダ 4:38.038
7 GONZALEZ Francisco/SUAREZ Juan スペイン 4:38.953
8 COWIE Brian/SOLEM Murray カナダ 4:39.351
15 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本 4:57.416
16 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本 5:06.203

9月19日(日)
男子LC1 4キロ個抜き最終結果

予選順位 選手名 1R タイム Final タイム
1 BROOKS, Peter オーストラリア 4:52.997 4:52.476
2 EIBECK, Wolfgang オーストリア 4:56.058 4:58.437
3 TRIBOLI, Fabio イタリア 5:01.713 5:03.428
4 RENGGLI, Ivan スイス 5:05.869 5:07.995
5 VIGNATI, Pierangelo イタリア 5:15.002
6 SCHAMBECK, Guenter ドイツ OVL
7 BRECHTEL, Guenter ドイツ OVL
8 MERCIER, David フランス OVL
12 SAKUMA, Akio 日本

男子視覚障害タンデム 4キロ個抜き最終結果

順位 選手名 1R タイム Final タイム
1 MODRA Kieran/CROWE Robert オーストラリア 4:26.920 4:23.874
2 MULDER Jan/SCHOOTS Pascal オランダ 4:27.984 OVL
3 SHARPE Ian/HUNTER Paul イギリス 4:29.345 4:33.487
4 VENGE Christian/LLAURADO David スペイン 4:32.693 4:35.595
5 CLEMENTE Miguel Angel/SOLER Ignacio スペイン 4:37.319
6 GONZALEZ Francisco/SUAREZ Juan スペイン OVL
7 COWIE Brian/SOLEM Murray  カナダ OVL
8 COTE Stephane/BOILY Pierreolivier カナダ OVL
15 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本
16 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本


9月20日(月) トラック3日目: 葭原・大木ペア、準決へ! 佐久間1キロでも日本新

 
トラックは3日目を迎え、日本期待のタンデムスプリント予選・準々決勝とLCクラス共通の1キロタイムトライアルが行われた。
 まずはタンデムスプリントベスト8を決める予選、ハロン(200メートル。) 12組出場で 葭原・大木ペアは10秒997で5位、大城・丹沢は11秒237で8位と共に予選突破、準々決勝へ。 予選トップは10秒771のパラリンピックレコードをマークしたMODRA/SHORTペア。
 準々決勝で大城ペアはこのMODRAペアと対戦。 健闘したが一歩及ばず、2-0で敗退。 葭原ペアは03年ヨーロッパ選スプリント銀のGORDON/STOREYペア(イギリス)と1-1で3本目にもつれ込んだ。 イギリスペアが逃げ切ったかに見えたレースだったが周回中イギリスが日本ペアの走行を押し上げ妨害、抗議が認められGORDONペアは失格を取られ、葭原ペアが翌日の準決勝に勝ち上がった。
 7位-8位決定戦にまわった大城ペアはフランスの強豪SENMARTIN/JANOWSKIペアに勝ち、7位が確定した。

 今大会、LCとCPの1キロタイムトライアルはそれぞれのクラスを統合して行われた。 つまりLC1からLC4まで共通して1つの種目、CP4とCP3共通で1つの種目として行われた。 そのままのタイムでは障害の重いクラスの選手が不利になるので過去の国際大会の記録を基に算出した係数を障害の重いクラスそれぞれに適用。 実際の走行タイムにこの係数をあてはめる、つまり重いクラスの選手のタイムは割り引かれる。 賛否両論分かれたこの方式。 総じて、障害の軽いクラスの選手には厳しく、重いクラスの選手には有利に働くように見え、実際その通りになった。
 この方式が発表になった後も佐久間は1キロでの好記録を目指して厳しい練習を続けた。 骨折・落車があったがそれも乗り越えた。 迎えたこの日。 35名(スタートリストには38名)が出走した今大会では飛び抜けて厳しい、最大の激戦レースLC共通1キロTT。 18番目スタート佐久間のタイムは1分16秒919。 自身が持つ日本記録を大幅に更新するタイムをマーク。 個抜きに続いての見事な走り。 しかしこのルールでは順位は伸びず、26位。 クラス大統合の1キロよりは個人追い抜きに力を入れておいた方が入賞の可能性はあったのでは・・・。 それでも怪我を乗り越え、最高の舞台で、この激戦クラスで連続して日本新を達成した姿には脱帽である。 これからパラリンピックを目指したいという選手にはぜひ佐久間の姿勢を見習ってほしい。

 男子視覚障害タンデム スプリント予選(ハロン)結果

予選順位 選手名 タイム
1 MODRA Kieran/SHORT David オーストラリア 10.771
2 BIDDLE Anthony/STEWART Kial オーストラリア 10.800
3 JANOVJAK Vladislav/PETROVIC Juraj スロバキア 10.958
4 GORDON Daniel Adam/STOREY Barney イギリス 10.991
5 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本 10.997
6 MOLL Achim/GOLIASCH Torsten ドイツ 11.108
7 SENMARTIN Partrice/JANOWSKI Frederic フランス 11.113
8 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本 11.237

 男子LCクラス共通 1キロタイムトライアル最終結果

順位 選手名 クラス 走行タイム 係数(%) 係数適用タイム(Final)
1 BALL, Greg LC4 オーストラリア 1:21.767 WR 82.763 1:07.672
2 THIRIONET, Laurent LC3 フランス 1:19.294 WR 86.966 1:08.958
3 GRAF, Tobias LC3 ドイツ 1:19.754 86.966 1:09.358
4 TEUBER, Michael LC4 ドイツ 1:24.155 82.763 1:09.649
5 BROOKS, Peter LC1 オーストラリア 1:10.250 100.000 1:10.250
6 MACCHI, Fabrizio LC3 イタリア 1:20.980 86.966 1:10.425
7 EIBECK, Wolfgang LC1 オーストリア 1:10.741 100.000 1:10.741
8 GARCIA, Antonio LC3 スペイン 1:21.415 86.966 1:10.803
26 SAKUMA, Akio LC1 日本 1:16.919 100.000 1:16.919

9月21日(火) トラック4日目: やった! 葭原・大木ペアが銅メダルを獲得! (後に銀に)

 
男子タンデムスプリント準決勝、葭原ペアは優勝候補筆頭の1つ、オーストラリアのMODRA/SHORTペアと対戦。MODRAは02世界戦、03ヨーロッパ選のこの種目の金メダリストだがパイロットが今年から代わった。 1本目、MODRAペアが逃げ切り。 苦しくなった葭原ペア。 2本目、やはり先行したMODRAペアを最終4コーナーで懸命に追ったそのとき、突然MODRAペアの前輪(Mavic)が粉々に大破し豪ペアは落車。 特にストーカーMODRAはかなりの負傷を負った模様。 再発走となり両ペアがスタートラインに呼ばれたが豪ペアはなかなか登場しない。 苦痛の表情を浮かべるMODRA.。 棄権か、日本ペアの決勝進出か、と思われたがぎりぎりになってMODRAがスタートラインへ。 ユニフォームが破れて痛々しい。 しかし再発走でも豪ペアは力強い走りで逃げ切り、決勝へ。 場内を沸かせた。 豪ペアの意外な走りに葭原・大木ペアは惜しくも3位決定戦へ。
 ここでの走りは見事だった。 やはり豪のBIDDLE/STEWARTペアを相手に1本目を先取、2本目を取られて3本目、バックから見事にまくってゴール寸前豪ペアを差して見事に銅メダルを獲得した。 ガッツポーズを繰り返す葭原ペアに大きな拍手が送られた。特にスタンドで大声援を送っていた日本応援団の盛り上がりはすごかった。 

 怪我や金銭的問題など、多くの苦しみを乗り越えてつかんだメダル。 この日は接戦続きで葭原ペアは6本激しいスプリントをもがきとおした。 体力的にも精神的にも限界に近い中での見事な走りだった。 葭原と大木の凄まじい執念と高い技術力が大舞台で最高のものを生み出していた。 おめでとう!
 スプリント決勝はMODRAペアとスロバキアのJANOVJAK Vladislav/PETROVIC Jurajペアの対戦。 1-1の後の決勝3本目を制したのは豪MODRAペア。 準決勝での激しい落車による怪我を跳ね除けての金メダルに感極まった様子。 
 銀メダルを獲得したスロバキアだったがこのあとのドーピング検査でパイロットが陽性となり、5日後メダル剥奪・葭原ペアの繰り上がり銀メダルが決定。 葭原は2大会連続の銀メダル獲得となった。 おめでとう!

準決、3位決定戦共に豪の強豪と激戦を展開 メダルは銅から銀に! おめでとう!

 男子視覚障害タンデム スプリント最終結果

順位 選手名
1 MODRA Kieran/SHORT David オーストラリア
2 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本
3 BIDDLE Anthony/STEWART Kial オーストラリア
4
5 MOLL Achim/GOLIASCH Torsten ドイツ
6 GORDON Daniel Adam/STOREY Barney イギリス
7 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki  日本 
8 SENMARTIN Partrice/JANOWSKI Frederic フランス
(スロバキアペアドーピング失格のため、4位は空位)

9月22日(水) トラック最終日5日目: 惜しい! 大城わずかの差で4位

 トラック競技は最終日を迎えた。 男子タンデム1キロタイムトライアルに葭原・大木ペアと大城・丹沢ペアが出場。 両ペア共にメダルの期待がかかった。
 この種目の出走は20組。 大城ペアは17番目、葭原ペアは最終20番目の発走。 大きな注目を浴びたのは葭原。 前回出した世界記録が場内の電光掲示板に記され、各国から鋭いマークを受けた。 緊張と大声援。 連日続いたトラック競技はその最後を迎え、盛り上がりと寂しさが入り混じったベロドローム。 4番目発走の英SHARPE/HUNTERの新鋭ペアが早くも1分5秒530をマークしガッツポーズを見せる。 個抜きメインの選手だけにスタートは21秒台と平凡だったが3周目4周目のラップは最高を記録し好記録をマーク。 1キロも強かった。 11番目登場の仏SENMARTIN/JANOWSKIペアがこれをさらに上回る1分5秒404をマーク。 日本応援団のすぐ上にいたフランス応援団・スタッフは大声援で盛り上がる。 フランスがこれほどのタイムを出すとは意外であった。 この時点では前日のスプリントでメダルを逃していた豪のBIDDLE/STEWARTペアが15番目に登場し、 力強い安定した走りで1分5秒141でトップに躍り出た。
 そして迎えた17番目、大城・丹沢ペア。 スタートはまずまず、バックでややバランス崩すがすぐに立て直し、初周20秒496は全体の4位で、前回シドニーの葭原ペアの記録を上回っていた。 2周目・3周目とタイムを上げて3位に。 メダルの期待が大きく高まった。 大声援が飛ぶ。 しかし、後半失速する癖は修正できず、結局1分5秒915で4位だった。 惜しい。 3位にわずか0.38秒あまりの差。 わずかなタイミング・バランスのずれ、わずかな粘りの差で届かなかった。 しかし、ほとんどのことを2人で行い、大変な苦労をして文字通り自力で挑んだ末での世界の4位。 胸を張ってほしい。 今後につながるだろう。
 最終発走の葭原・大木ペア。 期待が集まる。 しかし前日緊張感の中6本もがいた疲労もあったのだろう、1分6秒929で6位だった。 連続金メダルはならなかったが、個人トレーナーにつくなど長い間大きな犠牲を払い厳しい練習を行い、スプリントで銀メダルを取るなど成果を出してきた姿勢は立派だった。

JCAD日本チームにとって大きな目標の一つであったアテネのトラック競技は終わった。 次はロード。 こちらも期待が持てる種目がある。

男子視覚障害タンデム 1キロタイムトライアル結果

順位 選手名 タイム
1 BIDDLE Anthony/STEWART Kial  オーストラリア 1:05.141
2 SENMARTIN Partrice/JANOWSKI Frederic フランス 1:05.404
3 SHARPE Ian/Hunger Paul イギリス 1:05.530
4 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本 1:05.915
5 GORDON Daniel Adam/STOREY Barney イギリス 1:06.645
6 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本 1:06.929
7 MODRA Kieran/SHORT David  オーストラリア 1:06.936
8 KING Matthew/DEGOLIER Eric アメリカ 1:07.557

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