2004アテネパラリンピック ロード競技


9月24日(金) ロード初日: リベンジ! 小川が銅メダルを獲得!

 長く尋常ではないつらい道のりを乗り越えてついに迎えたアテネパラリンピック。 トラックが終わり、ロード競技がアテネ郊外のビーチエリア、ヴァーリアグメニでこの日からスタート。
 コースはかなりの部分がビーチに面しているため風を受けやすい。 厳しいのぼりはないが、1箇所登ってすぐにUターンして下ってくる箇所がある。 全体としてなだらかなアップダウンのコース。 とにかく、風に注意だ。 ロードレースの場合、集団から離れるとここでは取り返しがつかないように思えた。 そして暑さ対策も重要だ。
 CP2(脳性まひ第2区分)の小川睦彦が前回シドニー大会の屈辱を晴らすべく、午後2時20分スタートのCP2およびCP1共通ロードレース(5.5x4周;22キロ)に登場。 執念の粘りで見事に銅メダルを獲得した。
 レースは過去数年このクラスでトップを占めてきたMark Le Flohic(豪), Stuart Flacks(米), Adriaan Nel(南ア)に小川、チェコと独の選手らが集団を形成。 2周目後半から徐々に脱落する選手が出る。 3周目に入るとFlohic, Flacks, そして小川の3人だけがトップ集団に。
 3周目後半に入ったころ、Flacksがギアを上げ一気に仕掛ける。間髪入れずFlohicがこれにぴったり続く。 しかし小川はこの仕掛けに一瞬遅れ、また、2人の大ギアについて行けず、差が広がる。
 Mark Le Flohic, Flacks そして小川の順でラスト1周回へ。 小川と前2人との差は20秒前後はあったはず。 しかしここから小川は追い上げ、上位2人に数秒差まで迫る。 間もなく彼らと集団形成、金への期待が再び膨らんだ。 しかし強風を受けて力尽き、2人をマークすることは出来ず。 結局力の差を見せつけたMark Le Flohic が金、Flacksが銀メダルを獲得。 これに続いてゴールエリアに飛び込んで来たのは小川。 後続の姿は無い。 見事に銅メダルのゴール。 冷静な小川が歓喜のガッツポーズを見せた。 銅メダルおめでとう! 
 昨年まで小川にはいくつもの大きな課題があった。 コーナーワーク、ギア操作と選択、ドラフティング、など。 しかし、そのほとんどを厳しく豊富な練習量で見事に克服。 文字通り自転車に打ち込み取り戻したメダルだった。 

周回中、終始良い位置につけた小川 メダルを手ににっこり
 
 CP2/1共通 個人ロードレース 22キロ 最終結果
順位 選手名
1 le FLOHIC Mark オーストラリア
2 FLACKS Stuart アメリカ
3 OGAWA Mutsuhiko 日本
4 WINKLER Josef チェコ
5 BOON Dirk ベルギー
6 HILLERS Andreas ドイツ
7 JALBERT Paul カナダ
8 NEL Adriaan 南アフリカ

9月25日(日) ロード2日目: ハイペースと強風に泣く

 ロード2日目、10時からの男子タンデムロード総合の前半種目ロードレース(7.2x15周;108キロ)に大城ペアと葭原ペアが、午後1時10分からの男子LC1ロード総合のやはり前半種目ロードレース(7.2x11周;79.2キロ)に佐久間明夫が出場。 なおこれらのクラスのロード競技はこの日のロードレースと最終日に行われるロードタイムトライアルそれぞれの順位ポイントを合計して最終順位が決まる。 
 この日は珍しく曇りがち。雨が降る気配も感じられた。なお地元の人によると、オリンピックの前から雨は降っていないという。それよりも風が気になる。かなりの強風。特に午後からその風はいっそう強まった。
 男子タンデムロードは序盤からハイペース。 オーストラリアのMODRAがロードでは別なパイロットを使い、独走態勢を築くが終盤メカトラブル。ベラルーシのペアがこの日のロードでは1位だった。
 日本ペアはこのハイペースにやはりついて行けず。周回遅れに。それでも懸命にペダルをこぎ続けた。大城・丹沢ペアが18位、葭原・大木ペアが20位。葭原の国際大会ロード完走は久しぶりだそうで、穏やかな表情でレースを振り返っていた。
 2003年のヨーロッパ選ロードレースであわやメダルの大健闘をしたLC1佐久間に期待がかかったがこちらも序盤からまさかのハイペース。 3周目で集団から遅れだし、レース前からいっそう強まった風が佐久間を苦しめる。 必死に足を回し前を、夢を追った。 後から遅れた選手を一人二人と捕らえる。 この日のロードレースは16人中13位で終えた。 強風をもろに受け、苦しかっただろう。それでも最後まであきらめず必死に前を追いペダルを回し続けた姿はとても印象に残った。 

外国勢を風除けに使う大城ペア 葭原ロードもしっかり完走

意外なハイペースに苦しんだが佐久間はあきらめず 猛烈な向かい風が佐久間を打ちつける

コースの隣はビーチエリア 海風が終始強烈!

男子視覚障害タンデム ロード総合 ロードレース(108キロ)結果

ロードレース順位 選手名 ロードレースタイム ロードレースポイント
1 SHAPTSIABOI Vasili/DANILIK Aliaksandr べラルーシ 2:37:16 1
2 MOLL Achim/KALFACK Andre ドイツ 2:37:21 2
3 DONVAL Olivier/BIZET Alexandre フランス 2:37:21 3
4 COTE Stephane/BOILY Pierreolivier  カナダ 2:37:21 4
5 VENGE Christian/LLAURADO David スペイン 2:37:22 5
6 BERSINI Emanuele/di SOMMA Fabrizio イタリア 2:37:23 6
7 CLEMENTE Miguel Angel/SOLER Ignacio スペイン 2:37:28 7
8 MODRA Kieran/CROWE Robert オーストラリア 2:37:37 8
18 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本 OVL 18
20 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本 OVL 20

男子LC1 ロード総合 ロードレース(79.2キロ)結果

ロードレース順位 選手名 ロードレースタイム ロードレースポイント
1 EIBECK, Wolfgang  オーストリア 2:08:40 1
2 TRIBOLI, Fabio イタリア 2:08:40 2
3 MERCIER, David フランス 2:08:40 3
4 BROOKS, Peter  オーストラリア 2:12:01 4
5 BRECHTEL, Guenter  ドイツ 2:14:02 5
6 LINDGREN, Michael スェーデン 2:14:02 6
7 MARQUARDT, Walter ドイツ 2:14:02 7
8 RENGGLI, Ivan スイス 2:14:02 8
13 SAKUMA, Akio 日本 OVL 13

9月27日(月) ロード3日目最終日: 小川TTでも健闘 

 
ロードは1日の中休みをおいて3日目を迎えた。いよいよ最終日だ。この日はロードタイムトライアル(TT)デー。
 朝9時20分からの早いスタートとなったCP1/CP2共通ロードタイムトライアル(5.5キロ)。 ここではCP1の選手に障害の重さを考慮したタイム換算が行われるが、これが圧倒的にCP1選手有利な数字。 CP2でナンバー1選手のFlohicでさえ「無理。勝てないよ。」と言っていたほど。 事実そのとおりになった。
 優勝したのはベルギーのBoon。 実際の走行タイムは11分6秒14だが、係数として77.758%が当てはめられる。つまり、順位を決める最終換算タイムは実際の走行タイムの77.758%として算出される。 その数字は8分37秒97。 Boon の走りは立派で力強いものがある。 拍手を送りたい。しかしこのタイム換算係数が正しいのかは疑問が残った。 少なくとも他の選手が走る前から「無理だよ」と言うような係数は問題があるのでは。
 実際の走行タイム1位はやはりFlohic。 10分6秒84で、換算後は2位。
 日本の小川はロードレースについでのメダルの期待がかかったが、合宿中からTTよりもロードレースに力を入れていた。 やはりタイム換算があったからだ。 それでも自らDHバーに取り組むなど、この種目でも好成績を狙っていた。
 スタート後のコーナーでややバランスを崩す。 これが響いた。 しかしその後は立て直し、DHバーをうまく使う。 タイムは10分32秒26、タイム換算後5位であったが過去2年間よりも上位との差を大きく縮め、成長の跡を見せてくれた。
 LC1佐久間のロード総合後半種目のロードタイムトライアルは午前11時20分過ぎから。佐久間は4番目のスタート。距離は16.5キロ(5.5x3周。)
 タイムは27分54秒でロードレースと同じ13位。 ロード総合で13位という最終順位だった。 メダル・入賞は惜しくもならなかったがトラックでは日本新を連発するなど練習の成果を見せ付け、ロードでも最後まであきらめずに風に向かった。 若い選手にはぜひ見習ってほしい姿勢を示してくれた。 お疲れ様。
 このクラスの総合優勝はオーストリアのEibeckで、2種目共に1位の完全制覇だった。
 男子タンデムロード総合のロードTTは午後2時過ぎより。 22キロ(5.5x4周)で行われた。 大城ペアが33分38秒で16位、葭原ペアは34分52秒で17位。 ロード総合順位はロードレース終了時よりも順位を上げて大城が17位、葭原が18位となった。 ロード得意ではない両ペアだったがそれでもしっかり完走したのは責任感からくるものだろう。 男子タンデムロード総合優勝はベラルーシのShaptsiaboi/Danilikペア。 新たに登場した選手だ。 このペアだけでなく、オーストラリアも今回はロードでメダルを獲るなど、このクラスの層はさらに拡大している。
 
 支援・応援していただきました皆様、本当にありがとうございました。

 CP2/1共通 個人ロードタイムトライアル 5.5キロ 最終結果

順位 選手名 クラス 走行タイム 係数(%) 係数適用タイム(Final)
1 BOON Dirk  CP1 ベルギー 11:06.14 77.758 8:37.97
2 le FLOHIC Mark CP2 オーストラリア 10:06.84 100.000 10:06.84
3 NEL Adriaan  CP2 南アフリカ 10:10.58 100.000 10:10.58
4 FLACKS Stuart CP2 アメリカ 10:24.83 100.000 10:24.83
5 OGAWA Mutsuhiko CP2 日本 10:32.26 100.000 10:32.26
6 HILLERS Andreas CP2 ドイツ 10:50.31 100.000 10:50.31
7 WINKLER Josef CP2 チェコ 10:53.13 100.000 10:53.13
8 JALBERT Paul  CP2 カナダ 12:19.86 100.000 12:19.86

男子LC1 ロード総合 ロードタイムトライアル(16.5キロ)結果

ロードTT 順位 選手名 ロードTT タイム ロードTTポイント
1 EIBECK, Wolfgang  オーストリア 23:30 1
2 TRIBOLI, Fabio イタリア 23:49 2
3 BROOKS, Peter  オーストラリア 24:06 3
4 VIGNATI, Pierangelo  イタリア 24:26 4
5 BRETON, Marc カナダ 24:34 5
6 ROSBOTHAM-WILLIAMS, Gary イギリス 24:43 6
7 SCHAMBECK, Guenter ドイツ 24:54 7
8 MERCIER, David フランス 25:13 8
13 SAKUMA, Akio 日本 27:54 13

 男子LC1 ロード総合 最終順位

順位 選手名 ロードレースポイント ロードTTポイント 合計ポイント
1 EIBECK, Wolfgang  オーストリア 1 1 2
2 TRIBOLI, Fabio イタリア 2 2 4
3 BROOKS, Peter  オーストラリア 4 3 7
4 MERCIER, David フランス 3 8 11
5 ROSBOTHAM-WILLIAMS, Gary イギリス 9 6 15
6 LINDGREN, Michael スェーデン 6 9 15
7 BRETON, Marc  カナダ 10 5 15
8 MARQUARDT, Walter ドイツ 7 10 17
13 SAKUMA, Akio 日本 13 13 26

男子視覚障害タンデム ロード総合 ロードタイムトライアル(22キロ)結果

ロードTT順位 選手名 ロードTT タイム ロードTTポイント
1 MODRA Kieran/CROWE Robert オーストラリア 28:27 1
2 VENGE Christian/LLAURADO David スペイン 28:29 2
3 CLEMENTE Miguel Angel/SOLER Ignacio  スペイン 29:14 3
4 GONZALEZ Francisco/SUAREZ Juan スペイン 29:21 4
5 MULDER Jan/BOOM Bart オランダ 29:29 5
6 SHAPTSIABOI Vasili/DANILIK Aliaksandr  ベラルーシ 29:38.12 6
7 BRYN Jason/BUNSELMEYER Glenn アメリカ 29:38.94 7
8 SHARPE Ian/HUNTER Paul イギリス 29:54 8
16 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本 33:38 16
17 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本 34:52 17

 男子視覚障害タンデム ロード総合 最終順位

順位 選手名 ロードレースポイント ロードTT ポイント 合計ポイント
1 SHAPTSIABOI Vasili/DANILIK Aliaksandr ベラルーシ 1 6 7
2 VENGE Christian/LLAURADO David スペイン 5 2 7
3 MODRA Kieran/CROWE Robert  オーストラリア 8 1 9
4 CLEMENTE Miguel Angel/SOLER Ignacio   スペイン 7 3 10
5 COTE Stephane/BOILY Pierreolivier カナダ 4 9 13
6 DONVAL Oliver/BIZET Alexandre フランス 3 10 13
7 MULDER Jan/BOOM Bart  オランダ 9 5 14
8 MOLL Achim/KALFACK Andre ドイツ 2 13 15
17 OSHIRO Tatsuyuki/TANZAWA Hideki 日本 18 16 34
18 YOSHIHARA Shigeo/OKI Takuya 日本 20 17 37

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